一般歯科

虫歯

虫歯

『虫歯』は、虫歯菌の作り出す酸によって歯が破壊されていく病気で、歯周病と同じく口腔の二大疾患のひとつです。

虫歯菌は常在菌のため、誰の口の中にも存在しています。そして、虫歯菌は食べかすの中の糖を栄養分として繁殖し、プラーク(歯垢)となって酸を作り出して虫歯の状態にしていきます。

しかし、唾液に虫歯菌の出す酸を中和したり、汚れを洗い流す働きがあるため、虫歯のごく初期の段階であれば、正しい歯磨きなどで自然治癒が期待できます。

ただし、唾液は就寝中にはあまり分泌されないため、就寝中は虫歯が一番できやすくなります。ごく初期の段階を過ぎ、本格的に進行し始めた虫歯は、自然治癒しないため、治療しない限り進行し続けます。
また虫歯は、治療を行なっても、失った歯質を取り戻せるということはありません。虫歯の患部を削ってインレー(詰め物)などの補綴物で補い、支障なく使用できるようにしているにすぎないのです。

虫歯予防のためにも、毎日正しい歯磨きを行なうことが大切です。特に、唾液の分泌量が減少する就寝前の歯磨きは念入りに行ないましょう。また、歯科医院で定期検診を受けることも虫歯予防のために非常に有効です。

根管治療

根管治療とは

根管治療

『根管治療』は、根管(歯髄の入っている細い管)から壊死した歯髄(神経や血管)や汚染された象牙質を除去して根管内を清掃・消毒する治療法です。

虫歯が悪化すると虫歯菌が根管内に侵入し、歯の神経や血管を破壊していきます。それが歯髄まで達すると歯髄は壊死し、そのまま放置すると、その歯は将来的に抜かなくてはならなくなります。根管治療は歯髄のない歯でも抜歯せずに残すために行ないます。
これを確実に行なうことで、重度の虫歯も抜かずに残すことができるのです。

壊死した歯髄はていねいに除去する必要がありますが、それができていないと、歯根が再び炎症を起こして、根尖病巣(根の先端にできる膿の溜まった袋)ができてしまうことがあります。こうなると再び根管治療を行なわなくてはなりません。

しかし、歯根はとても細く、しかも複雑な構造なので肉眼で見ることができないため、難しく時間がかかる治療法で、患者様の負担になってしまいます。
再治療を避けるためにも、最初に慎重でていねいな治療をしておく必要があります。

根管治療の種類

抜髄治療

虫歯が悪化して歯髄(神経や血管)に達したり、歯髄が壊死した場合に行ないます。
根管から感染した歯髄を除去し、根管内を隅々まで洗浄・消毒します。その後、根管内にすき間なく薬剤を詰め、歯の機能を回復させます。

感染根管治療

根管治療の再治療です。以前の根管治療が不完全で、根尖病巣(根の先端にできる膿の溜まった袋)ができ、顎の骨にまで異常が起きてしまうことがあります。そのようなときはより早急で適切な根管治療を行なわなくてはなりません。

しかし、以前の治療で詰めた薬剤を除去してから洗浄・消毒を行うので、治療が困難になります。一般的な処置で対応できないときには、外科的処置を行なうこともあります。

外科的根管治療

感染根管治療を行なっても、根尖病巣を縮小できなかった場合に行なう治療で、根尖病巣をひとつずつ取り除く外科手術を行ないます。
その後、根尖・根管内にすき間なく薬剤を詰めて治療が完了します。

根管治療の流れ

Step.1 歯髄(神経や血管)の除去

虫歯菌に冒された歯髄を取り除きます。

Step.2 根管長測定

根管長測定器という専用器具で、根管の長さを測ります。

Step.3 洗浄

根管内をていねいに洗浄します。

Step.4 根管充填

根管の先端まで、根管内にすき間なく薬剤を詰めます。

Step.5 土台構築

クラウン(被せ物)を装着するための土台をつくります。

Step.6 クラウンの装着

土台にStep.5 を装着し、治療が完了します。

WAVE ONEシステム

WAVE ONEシステム

根管治療はファイルという専門器具を使用して行ないます。
従来は一度使用したものを滅菌し、別の患者様の治療に使用することがありましたが、当クリニックでは『WAVE ONEシステム』を導入し、患者様ごとに滅菌包装されたファイルを使用しています。

使い回さず使い捨てにするので、感染することがなく、安心して治療を受けていただくことができます。

WAVE ONEシステムの特徴

  • 治療時間が短縮できる
  • 特殊な形状になっており、治療精度が向上する
  • ファイルが破折しないので、それによる再治療が軽減できる

トライオートZX2

トライオートZX2

モリタのトライオートZX2は、根管治療で行う穿通・グライドパスを含む根管拡大形成を根管長測定機能との連動により、今までより、速く行うことが可能です。

根管長をリアルタイムでモニタリングしているため、拡大形成(根幹形態の変化)根幹長が変化しても、その変化に応じて作業長位置を知り、対応することが出来ます。

トライオートZX2の特徴

  • 穿通・グライドパスを含む根管拡大形成を根管長測定機能との連動により、より速く行うことが可能となりました。
  • 柔軟性に富んだNi-Tiファイルとの組み合せにより、湾曲根管でも根管に沿った拡大が可能となりました。
  • 回転する際のトルクを管理し、回転に変化を加えることにより、さらに折れにくく、簡単に、より安全にできるようになりました。

治療後のメンテナンスについて

治療後のメンテナンスについて

根管治療で歯髄(神経や血管)を取り除いた歯は、健康な歯よりももろくなります。また、人工物であるクラウンは虫歯にはなりませんが、神経がないため異変が起きても気づきにくくなるため、虫歯の再発や歯周病になる確率が高くなります。

そのため、根管治療が完了しても油断せず、きちんとメンテナンスを受ける必要があります。せっかく治療に時間をかけて残した歯なのですから、失うことのないように、毎日適切な歯磨きを行ない、必ず定期検診を受けましょう。

歯周病

歯周病とは

歯周病とは

『歯周病』は、歯肉(歯茎)・セメント質(歯根の表面を覆う組織)・歯根膜(歯根と歯槽骨をつなぐ組織)・歯槽骨(歯を支える骨)で構成される歯周組織が、炎症により破壊されていく病気です。歯周病菌の繁殖が原因で歯肉の腫れや出血、歯の動揺などが起こり、放置すると最終的には歯が抜け落ちてしまいます。そして現在、成人の約80%が歯周病になっているといわれています。

歯周病と全身疾患との関係

歯周病の恐ろしさは、歯が抜けてしまうことだけではありません。
近年、さまざまな研究により、歯周病が以下のように全身の疾患に影響を及ぼすことがわかっています。
口だけではなく全身の健康を維持するためにも、歯周病の予防と治療は大切です。

糖尿病

糖尿病にはさまざまな合併症がありますが、歯周病もそのひとつとされています。
そのため糖尿病の方の多くは歯周病にかかっています。また歯周病になると、サイトカイン(免疫や炎症に関する働きをするたんぱく質)のなかの一種によりインスリン(血糖値を低下させる作用を持つホルモン)の働きが阻害されるため、歯周病の方は血糖コントロールが困難になります。
つまり、歯周病の改善により炎症が治まり、サイトカインの濃度が低下すれば、血糖コントロールしやすくなるということになります。

心血管疾患

血管内に歯周病菌が侵入し、血流に乗って冠状動脈(心臓に血液を供給する動脈)に達すると、心血管疾患が発症しやすくなります。
歯周病の方の心血管疾患の発症リスクは、そうでない方に比べ1.15~1.24倍ほど高くなるとされています。

誤嚥性肺炎

高齢者に多く見られる病気のひとつで、唾液中の細菌などが気管に入って肺に感染し、それが原因となってかかる肺炎です。
誤嚥性肺炎の方の多くから歯周病菌が見つかっていることから、高齢者にきちんと口腔ケアを行ない、歯周病菌を減少させることにより、肺炎の発症率が下がることがわかっています。

骨粗しょう症

高齢の女性に多く見られる病気のひとつで、骨密度が低下して折れやすくなった状態です。
歯周病になると生成されるサイトカイン(免疫や炎症に関する働きをするたんぱく質)のなかには、骨代謝に影響を及ぼすものがあるため、歯の欠損と骨密度の低下には関連があるとされています。
逆に、骨粗しょう症の方が歯周病になると、歯槽骨(歯を支える骨)が急激に吸収され、症状の進行が早まってしまいます。

早産・低体重児出産

妊娠中はホルモンの変化などによって歯肉に炎症が起きやすくなり、歯周病になる方がいます。
歯肉の血管から侵入した歯周病菌やサイトカイン(免疫や炎症に関する働きをするたんぱく質)が血流に乗って子宮に達すると、子宮筋の収縮を引き起こして早産や低体重児出産になる可能性があります。
歯周病の方の低体重児出産のリスクは、そうでない方に比べ4.3倍ほど高くなるとされています。

歯周病の進行

歯周炎

歯肉炎

歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝)に溜まったプラーク(歯垢)が固まって歯石となり、歯肉の腫れや歯磨き時の出血の原因になります。炎症が起きているのは歯肉のみなので、適切な処置で元の状態に回復できます。

軽度歯周炎

軽度歯周炎

歯周ポケットが深くなり、炎症が進みます。少しずつ歯肉が下がり、歯と歯の間に隙間があいてきます。歯周ポケットにたまったプラークは歯磨きだけでは取り除けないため、専用器具で取り除く必要があります。

中等度歯周炎

中等度歯周炎

歯周ポケットがさらに深くなり、顎の骨が溶けはじめます。歯の動揺が見られ、膿が出ることがあります。放置すると歯を失う可能性が高くなります。

重度歯周炎

重度歯周炎

顎の骨が半分以上溶け、歯の動揺が激しくなって食べものをしっかりと噛むことが困難になります。出血や膿がさらにひどくなって悪臭を放ち、遅かれ早かれ歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の治療の流れ

Step.1 検査

プラークの付着、歯周ポケットの深さ、歯肉の出血などを検査して歯周病の進行度を確認します。

Step.2 歯磨き指導

適切な歯磨きを習得できるよう、歯科衛生士が歯磨き指導を行ないます。

Step.3 スケーリング

歯の表面に付いているプラーク(歯垢)と歯石を除去します。

Step.4 ルートプレーニング

歯周ポケットの奥深くのプラークや歯石を除去します。

Step.5 歯周外科治療

末期症状の方には、外科的な処置を行なうことがあります。

Step.6 補綴治療

歯肉の後退による歯根の露出を自然な状態に回復させるため、被せ物で治療します。

Step.7 再検査

再度プラークの付着、歯周ポケットの深さ、歯肉の出血などを確認し、プラークと歯石を除去します。

Step.8 定期検診

年に数回の定期検診で歯磨き指導、歯石除去、噛み合わせの確認などを行なうことにより、口の健康維持へとつなげます。

歯周病の治療法

歯磨き指導

歯磨き指導

初期の歯周病は、適切な歯磨きを習得して実行すれば治癒が期待できます。歯磨きの方法は、患者様の症状などによって異なるため、患者様の口の中を確認してその方に合った方法を指導し、症状の回復へと導きます。

スケーリング

スケーリング

歯の表面にこびり付いたプラーク(歯垢)や歯石を、専用器具で取り除きます。目に見える汚れを徹底的にクリーニングします。

ルートプレーニング

ルートプレーニング

スケーリング後、表から見えない歯周ポケットの奥深くのプラークや歯石を取り除きます。同時に、その処置によってザラついた歯面を滑らかにするので、歯面がツルツルになって再びプラークが付着するのを防ぎます。

歯周外科とは

歯周外科とは

歯周病治療の基本は、プラーク(歯垢)や歯石を完全に取り除くことです。口の中の環境を衛生的に保つことで歯周病は回復し、歯肉の健康を維持できます。ただし、進行してしまった重度の歯周病は、表から見えない部分の外科的な処置が必要になります。それを歯周外科といい、下記のような治療法があります。

歯周ポケットそうは術

歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝)が浅い段階で行なう処置です。麻酔を使用し、歯周ポケット内部のプラークや歯石を取り除きます。

フラップ手術

歯周ポケットが深くなってしまった段階で行なう処置です。麻酔を使用し、歯肉を切開して歯根を露出させ、プラークや歯石、感染した歯周組織を取り除きます。

再生療法

■GTR

歯周病の進行により下がった歯肉や、溶けた顎の骨を再生させる処置です。麻酔を使用し、歯肉を切開してプラークや歯石を取り除きます。その後、メンブレン(人工膜)で覆って歯肉の侵入を防ぎながら歯周組織の再生を促します。

■エムドゲイン

GTR同様、歯周組織を再生させる処置です。エムドゲイン・ゲル(動物由来の薬剤)で歯肉の侵入を防ぎながら顎の骨の再生を促します。エムドゲイン・ゲルは歯周組織の再生を促しながら、体内に吸収されます。

歯周病は痛みなどの症状を自覚しにくく、気づいたときには重症になっているということも少なくありません。
また、口の病気ではありますが、全身の原因となることもわかっており、糖尿病、心疾患、早期低体重児出産、誤嚥性肺炎、骨粗鬆症などを引き起こす可能背もあります。

毎日のていねいな歯磨きが歯周病予防の基本ですが、歯科医院で定期検診を受けることも大切です。生涯自分の歯を使い続けるためにも、予防に努めましょう。

レーザー治療(LAPT)

レーザー治療(LAPT)

LAPTとは、アメリカ西海岸で生まれた技術であり、レーザーを用いた新しい歯周病の治療法です。
数ある種類のレーザーの中でも最新のダイオード(半導体)レーザーを使用し、歯周病の原因である細菌を除去します。

レーザー光を照射することにより、歯周病細菌を除去し、その後炎症を起こしている組織を除去します。
そうすることで、歯茎の再生や回復を促します。

「LAPT」のメリット

メリット

■治療時、治療後の痛みがほとんどない。
■炎症を起こしている組織を早期に治す作用があるため、治癒経過が良好となる。
■短期間での治療が可能となるので、負担が少ない。
■通常では治療が難しい、歯周ポケットの奥にある細菌の除去ができる。
■歯周病が進行した場合、歯周外科手術が必要になるが、LAPT治療後はそれを回避できる可能性が高い。

「LAPT」の治療の流れ

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